金になる光

The rays that pay: why solar is an unstoppable power source
金になる光

69%を占める太陽光 : 最近、フィンランドのラッペーンランタ工科大学( Lappeenranta University of Technology (LUT))は、2050年には再生可能エネルギーだけで必要なエネルギーの100%を供給することができ、太陽光発電が供給するエネルギーの割合は全体の69%に達するという研究結果を発表した。大胆かつ楽観的なこの数値が発表されるまで、どのような前提が考慮されたのだろうか?LUT研究チームの責任者である。

Christian Breyer 氏は、 氏は、寄稿文を通して、研究のモデリングプロセスを説明する。政治家や大企業が望むか望まないかを問わず、近い将来、太陽光発電は最も低コストな代案、かつ無視することのできないエネルギー源になるとし、なぜ太陽光が最大の勝者にならざるを得ないかを説明する。

石油礼賛論に酔いしれる太陽光エネルギーに批判的な人であっても、太陽が地球上のあらゆる生命の根源だという点には同意するであろう。しかし、このような単純な事実は、太陽光エネルギーが相応の扱いを受けるまで、とてつもなく長い時間がかかった理由にもなるのである。太陽は、ありとあらゆるものを抱擁し、誰も避けることができない、当然な、また必要な存在である。あまりにも当然かつ巨大だからこそ、かえってその存在に注目しなかったのである。

これまで、太陽の力を活用しながら成長してきた産業は、かならずしもエネルギー分野に限らない。あらゆる農家、農業そして食糧生産が基本的には太陽のエネルギーによって営まれている。のみならず、ファッション、サッカーそして化石燃料産業すらも太陽と関連がある。太陽は、すべてのものにエネルギーを供給する。1時間の間、地球に到達する太陽光エネルギーだけで地球全体が1年間必要とするエネルギーを供給することができるという事実は、物理学のテストでAを狙う大学生なら誰もが基本的に学ぶ内容である。

そして、まさにそのような理由から、太陽光発電は実質的なチャンスを十分生かすことができず、失敗を重ねているのである。太陽光発電は、長らくニッチ・エネルギー源として認識されてきた。石炭、ガス、原子力などの主要エネルギー源があり、これを補完する程度の「代替」エネルギーとして認識されてきたのである。しかし、エネルギー分野に従事する多くの人々は、自分が扱う資源が結局は有限であり、いつか、ある時点に至っては、結局「代替」エネルギーが主流とならざるを得ないということを十分に認識している。

皆が「いつか」と言ってきた「ある時点」は、まさに今である。ここ数年、市場や政治圏では太陽光の不確実性を語り続け、ガスや石油供給価格は下落し続け、太陽光エネルギーそのものの値段は浮き沈みを繰り返しながら変化しているが、太陽光分野は記録の更新を重ねながら成長してきた。そして、Solar Power Europeの発表によれば、2017年現在、全世界の太陽光発電生産施設の新規投資規模は、98.9GW(ギガワット)に達するという。これは、太陽光発電の生産施設累積規模が303GWを記録した2016年に比べ、年29.3%の成長を記録したものである(図参照)。 また、これは従来のエネルギー方式と代替可能エネルギーすべてを合わせた新規エネルギー投資の34%を占める規模であり、他のエネルギー源よりもその割合が高く、ここ十年間継続して成長している世界的な傾向をそのまま反映していると言える。

Fig 1 図1. (左) 2016年現在、全世界のエネルギー総設備容量(右) 2010-2014年、エネルギー発電技術の新規設備の割合 資料: Lappeenranta University of Technology (LUT)

毎年、太陽光発電関連コストは低下し、性能もより改善しており、その人気もまた日々高まっているという証拠が継続して明らかになっているにもかかわらず、未来の全世界のエネルギー供給を分析し、周期的な展望を提示するグローバル分析家たちは、太陽光の潜在力に対する過小評価を続けている。

なぜ、これほどにまで保守的な態度を取るのか?

国際エネルギー機関(IEA)は、すべてのエネルギー源の現況および展望に関する定期的な報告書を発行する公信力ある機関である。このIEAの蓄積されたデータによって数年にわたり太陽光が持続的に浮上しているということが立証されている。2017年11月に発行した最新の報告書では、2015年のグローバルデータを根拠に、太陽光が純成長率基準で石炭部門を超え、風力やその他の再生可能エネルギーと共に2017年の新規発電生産施設の2/3を占めていることを明らかにしている。

自らが蓄積したデータの分析を通して、IEAは太陽光発電の未来成長に対する肯定的な展望を出すこともできただろう。しかし、IEAは依然として太陽光について、大変保守的な態度を堅持している。

例えば、2017年の一年間だけで100 GWの太陽光発電が追加されたため、IEAは今年も同等レベルの成長を予測しているだろう。ところが、数年間太陽光分野が継続して記録を更新する成長を続けてきたにもかかわらずIEAの報告書は、前年対比かえって縮小した設備容量の構築規模を展望している。これまでの10年間、太陽光発電分野は年平均44%の成長を続けてきたが、IEAのより前向きな「持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario)」ですら年140 GWの追加に過ぎない展望値を提示している。しかし、ここ20年間の太陽光分野の発展を簡単に調べてみただけでも、太陽光分野の展望がより現実性を確保するためには、今よりもっと肯定的な方向で提示することができ、また当然そうすべきであるということがわかるだろう。

より肯定的なアプローチのため

太陽光の潜在力に対して保守的な立場を堅持しているのはIEAだけではない。最近、中国政府が、中国の太陽光発電業界に対する補助金支給および支援を縮小することを決定したのに続いて、GTM Research社は、2018年下半期にモジュールのコストが34%下落すると展望している。この展望が正しいかどうかはしばらく様子見が必要であるが、このような否定的な展望は、太陽光分野ではよくあることである。

このようなもろもろの状況から、フィンランドのLUT研究チームが進めた再生可能エネルギーのモデリングの結果に対して、研究を進めた当の研究者すらも、最初は懐疑心を抱かざるを得なかった。地球を時間および空間で測定した精密データを適用して算出したモデリングの結果を見れば、2050年の全世界のエネルギー供給の69%は太陽光が、地球全体のエネルギー必要量の100%を再生可能エネルギーが供給することが可能になるということがわかる。

研究チーム自らもこの高い数値に驚いたのである。モデリングの結果検証だけにも6カ月がかかり、以降20回に及ぶモデリングの結果をアップデートしたが、毎回結果は同じく、太陽光のエネルギー供給の割合は69%であった。

そして、ようやく我々は、なぜそのような結果が出たのかを明らかに理解したのである。

LUTのモデルは、最低コストで新規エネルギー力量を増やすための投資方法を計算する。どの技術分野に投資するかは、事前に定めておらず、新規設備力量投資が行われるべき地域の資源品質によって結果が決まる。例えば、太陽光が豊富な地域であれば太陽光発電技術の利用が提案される、といった具合である。

モデル適用方式

LUTが適用したモデルには、世界の全地域を145の区域に分類し、2005年から蓄積された実際の気候データを適用している。地域毎に50キロメートルの距離で毎時間測定し、地域毎、時間毎に最大戦略生産量を充足する発電量データを適用した。また、電力線、貯蔵、バイオエネルギーおよび水力発電などといったディスパッチング方式による発電(dispatchable generation)などの流動性オプションも考慮している。

勿論、モデルは技術効率や技術収率のみならず、財務指標も考慮している。つまり、発電設備の寿命周期全体からみた資本的支出と運営費をすべて考慮し、電力の需要を充足するための最低コストの解決策を探すため努力した。従来の発電設備は、その寿命が尽きまで従来通り稼働しながらエネルギーの転換が完了するまで任務を遂行する。

太陽光が総エネルギー供給の69%を賄うという数値は、計145の地域にわたり反復して遂行したモデル分析により得られた結果である。69%という普及率は、簡単に説明すれば、最も多くの地域において太陽光発電は、最も経済的に効率性が高い選択だということを意味する。太陽光発電が完全に根を下ろすまで時間はかかるが、関連コストは低下し続け、太陽光発電に対する学習は加速化し、電力生産後の貯蔵技術もやはり継続して発展することから、普及率も爆発的に増加の傾向を見せるだろう。2030年頃には、年間の太陽光設備容量規模は、500 GWを上回るものと推定されるが、これは現在の100 GWから大きく成長したものである。これとは対照的に、石炭関連設備容量の累積数値は減少し続け、2030年には1,293GWにまで落ちるものと予測される。ガスタービンは、今後10年間は増加傾向であるが、以降再生可能エネルギーの設備容量の増加により相対的に次第に下落するものと予想される(下記の図参照)。

Fig 2 図 2. グローバル‐発電燃料による累積設備容量および純発電量;2010-2050エネルギー転換期の期間、5年単位で本設備容量および様々なエネルギー貯蔵方式毎の純産出量。ガスタービン燃料は、2015年化石燃料から2050年バイトメタンおよびpower-to-gasに転換。資料:Lappeenranta University of Technology (LUT)

模型で策定したコストのスタートラインは€70/MWhであった。これには投資、減価償却、資本、貯蔵コストだけでなく、送電・発電短縮(curtailment)に関連した損失コストも含まれている。2015年のデータを基盤に策定したこのコストは減少し続け、2050年には太陽光発電コストが€52/MWhにまで下落することを確認することができる。つまり、2050年には、太陽光設備が増加するほど、全世界のエネルギーシステムのコストをより節減することができるだろう。

この模型は、毎時間の測定値を適用したため、最終結果値もまた大変安定的である。つまり、一年間の時間毎の測定を通して、どの時点においても発生する電力需要に対応し充分かつ最低コストのエネルギーを供給することができる方法を提示したということであり、結果的に2050年の太陽光発電設備容量の全体規模は、22 TW(テラワット)に達するということがわかる(地図参照)。

Fig 3 図3. 2050年の主要再生可能エネルギーの設備容量:エネルギーシステム稼働のためには、各地点の毎時刻の天候を知ることが大変重要。資料: Lappeenranta University of Technology (LUT)

数値だけで見れば、現在の年100GW規模で追加増設されている太陽光発電の生産設備が毎年増加し、2050年までに2TWに到達してはじめて、上の地図で説明する太陽光発電が賄う規模である69%の予想値を達成することができ、全世界の発電および交通部門が必要とするエネルギー需要を満たすことが可能になるのである。

エネルギー貯蔵技術の重要な役割

太陽光発電が失敗することを固く信じる人々は、「太陽が隠れて見えないときはどうするのか」と絶えず質問するだろう。そして、「合理的なコストの貯蔵技術があるため問題ない」という答えを聞いても、まるで聞こえないふりをするだろう。実際に、合理的なコストのエネルギー貯蔵技術は、すでに巨大な流れとして我々のもとに歩み寄っている。貯蔵アプリケーションのサポートなくして、太陽光発電の普及率が向上するはずがないからである。よって、低コストの貯蔵技術を確保することが、太陽光発電の普及率を高めるためには先決すべき課題と言えるだろう。この先決課題が解決しなければ、太陽光の普及率はせいぜい20-30%レベルにとどまらざるを得ない限界があるが、バッテリー方式の貯蔵技術とともに発電すれば、普及率は70%まで達成することができる。

現在、リチウムイオン電池の技術は太陽光技術の発展スピードに匹敵する学習力を見せており、同等レベルの成長スピートで発展している。あらゆる技術がそうであるように、市場そのものの成長とここにマッチングして早いスピードで発展する技術学習力は、急激なコスト削減につながる。ただ、両者にギャップがあるとすれば、太陽光の原材料の需給には全く問題がないのに比べ、リチウムイオン電池は原材料の需給に若干の困難があり得るという点であろう。リチウムイオン電池はコバルトを素材とする場合があるが、このコバルトは現在ほぼ全量コンゴから供給されている。この場合、コンゴの政治、治安状況が大変不安定だという点が問題となる。

リチウムの全世界埋蔵量は、今後20-30年使える規模である。LUTのモデル予測では、貯蔵媒体の成長率も共に考慮されるため、転換期中のある時点でバッテリー製造に関する代替物質の発見が必要な状況である。また、モデルの予測では、リチウム電池をかなりの部分リサイクルすることを前提としているため、バッテリーのリサイクルは必須として伴わなければならならず、皆がこれを忘れてはならないだろう。

単純な成長だけでなく進化も起こる

太陽光発電は、既に主要先進国の再生可能エネルギー産業において重要な割合を占めている。しかし、ガスなどに比べれば依然として普及率は低い。ドイツの太陽光発電は、年間の平均電気需要の7%を賄っており、イタリアは10%、アメリのカリフォルニアとハワイではそれぞれ20%、25%を太陽光発電で供給している。

このように増加する消費傾向に足並みを揃え、太陽光で生産した電気を貯蔵・消費する方法も、また発展を続けている。前述したように、エネルギー供給網の柔軟性を確保するためには、バッテリーの役割が重要である。そして、太陽光は、遠からず暖房エネルギーの供給にも影響を与えるものと展望される。ほとんどの暖房需要は、寒い冬に集中しており、相対的にこの季節の太陽は弱い。しかし、24時間休まず暖房が必要な絶対需要は、ほとんどが産業分野で発生しており、この需要は季節に関係なく1年を通して存在する。よって、適切な貯蔵技術のサポートを通して太陽光が暖房部門に寄与し得る余地は、大変大きいと言えよう。現在、モデルを通して研究中であるが、この暖房分野の太陽光発電の規模もやはり、テラワット規模に成長するものと予想される。

虎がやってくる

紆余曲折と反転は太陽光産業の発展において、至極自然なプロセスの一部である。目の前の潮の流れが穏やかであるその瞬間にこそ、ライフベルトをしっかり締めなければならないということを、熟練した船員達は知っている。業界の専門家も同じである。常に予測不可能な状況が発生する可能性を予測し備えることは、太陽光発電産業において当然のことだと言えよう。しかし、技術が発展し産業の土台をよりしっかり整えながら、一層成熟した産業へと成長しているため、突発的な状況が発生しても、より安定的に対処することができるだろう。さらに、外部条件の変化に打ち勝つ力をつけることで、未来予測もより容易になるだろう。

勿論、このような事が一夜にして起こるわけではない。LUTモデルは、未来の経済危機や自然災害、誤った政策決定などの影響を繁栄することができない科学的実験である。未来を占う魔法の水晶玉ではないが、未来のエネルギーシステムを評価するにおいて、どちらか一方に偏ることのないツールであることは明らかである。故に、太陽光が2050年頃には最も規模の拡大が容易であり、コストも最小限に抑えることができる電力供給源になるだろうとの結果を提示するにおいて、このモデルは何らコメントを加えることなく、数字でのみ語っているのである。

ハンファQ.セルズにはチャンス

太陽光は、すでに多くの国でグリッドパリティ(Grid parity、再生可能エネルギーによる発電コストが既存の電力のコストと同等になる均衡点)を超えるか、それにかなり近づいている。よって、現在もそうであるが、未来にはクリーンエネルギー部門においてより積極的な高度のロビー戦略を繰り広げなければならないだろう。そうすることで、政策立案者が太陽光に関心を持つようになるからである。そのためにも、世界の舞台における先導的な太陽光発電企業は、より責任のある役割を遂行すべきである。グローバルエネルギーの転換のため、多国籍企業が再生可能エネルギーを採択する事は経済的だけでなく環境的にも必ず必要であり、結果的に利益につながる決定であるというメッセージを、より拡散させる必要がある。グーグル、IKEAそしてハンファのような多国籍企業がより奮発し、持続可能なエネルギーシステムが実際にはどのような姿であるか、政策決定者が理解できる言葉で説明するため努力しなければならないのである。このような努力は、科学的根拠、環境運動、保健機構およびその他社会運動グループの支持の中で行われるべきである。結局は、これまで他のどのエネルギー源よりもクリーンで低コストかつ人気の高い太陽光の運命を決めるのは、このような努力の蓄積なのである。そして、まさに今がその努力を実践に移すべき瞬間である。

Christian Breyer
Christian Breyer教授、フィンランド・ラッペーンランタ工科大学(Lappeenranta University of Technology, LUT)の太陽経済学科の教授

再生可能エネルギーシステムの技術及び経済的特性に関する融合研究を進めており、中でも地域および世界で、再生可能エネルギーが必要電力生産の100%をまかなうシステムモデリングを研究している。Breyer教授の研究チームは、主要国および地域における再生可能エネルギー100%達成に関する最多研究論文を発表しており、炭素の負の排出(negative CO2 emission)に関する研究も、同教授のチームを通して一層説得力を得ている。ラッペンラーンタ工科大学以前は、ベルリン・ライナー・ルモワーヌ研究所(Reiner Lemoine Institut)およびQセルズ(現在は合併してハンファQセルズ)に勤めた経歴を持つ。欧州連合及び国際原子力機関参加の太陽光発電研究所(ETIP PV、IEA-PVPS)のメンバーであり、欧州ソーラーエネルギー会議&展示会(EU PVSEC)および国際再生可能エネルギー貯蔵会議(IRES)科学委員会の委員、エネルギー・ウォッチ・グループ(Energy Watch Group)の再生可能エネルギー分科会長、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のレビュアーとして活躍している。

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